Nekotamibnneko

2017年4月1日土曜日

【第一章:マレビト・スズと風の国十四・十五とココナラで販売開始しました。



『ギフト』





『Girl』
https://handmade.coconala.com/works/11372/



先日のウッドバーニング作品、『ココナラ』さんで販売してみることにしました。


【ココナラハンドメイド:プロフィールページ】



ちなみに今、アートメーターさんは会社移転的なあれでメンテナンス中。(^ェ^);


ココナラさんはけっこう前に試しに会員登録してみたものの、
ほとんど使用していなかったのですが、 この春にハンドメイドショップが
開店したので……登録方法が解りやすくて使いやすいです!(๑•ω•́ฅ✧


私、こう見えても自分の作品は、絵も小説も世界で一番好きなのです。


自己肯定力は死ぬほど低いけど、 自分の作るものは誰よりも好きなのです。

でもそれをアピールするのはやっぱり死ぬほど苦手。(-ェ-);


だから作品を作っている間は他のすべてがどうでも良くなるくらい
楽しいんだけど、それについて解説とかをつけて
人に説明するのは本当にどうしたら良いのか解らなくて、
文章をずっと考えて直してを繰り返し、結局たいした説明はしないという、
無駄に時間が過ぎていく感じで登録しております。(TェT)

昨日(3月31日)はそんな日でした。


他の人の作品なら客観的に判断できるので、
評価したり宣伝するのも楽なんですけどね。(^ェ^);



今日も新潟の、ワンオクのみんなと、参加される皆さんに愛。(๑•ω•́ฅ✧

 今日もファイティン!!Σd(ゝω・o)♥。+.。゚:;。+





というわけで、以下

【第一章:マレビト・スズと風の国 十四・十五】となります。


この辺けっこう短い区切りなので16まで終わってからと思っていたんですが、
そんなわけで間にココナラ作業等を入れてしまったので、
日記の更新ごと遅くなりました、ごめんなさい。(-ェ-);


また後日にでも裏話はまとめて。(^ェ^);








 ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ 
 


 【第一章:マレビト・スズと風の国 十四】

十数分後、スリーサイズから身長、頭周りや首周り、
その他自分でも知らなかったいろんな場所のサイズを測ってもらい、
進一郎はようやく開放された。

「こんなに色々測る必要、あるんですか?」
ややぐったりしてギンコのもとに戻ってきた進一郎が聞いた。
ギンコはショーウィンドウの傍のロッキングチェアに腰掛けている。

「まあ、これから仮面とかもつけなきゃだしねえ。
脱ぎ着しやすい首周りだとかも色々考えなきゃだから」
ギンコがゆらゆらとイスを揺らしながら苦笑して言った。

「下着なんかはどうします!?」後ろからレオナの声がした。
「自分で選びます!!」即答した。
さすがにこれだけは自分の趣味で押さえておきたい。

「うん、じゃあ、下着と、仮面と、衣装と、
それから石の下げ紐はボクらで選ぶから!」
ギンコが店の奥に声をかけた。

店に入る前には良く見ることができなかったが、
ドアベルの上には小さな銀の狐がちょこんと乗っており、
ショーウィンドウの内側には様々な物が置かれていた。

仮面はもちろんだが、煌く宝石のような石もあるし、
使い道の解らない道具もたくさんある。

「ここって、結局何屋さんなんですか?」

「うーん……それがボクにもよく解らなくなってきてるんだけど、
まあ雑貨屋さんかな。最初はメルーとレオナが表で趣味の
小物屋さん兼、喫茶店みたいな感じでお店を開いてたんだよね。
そこにたまにボクが作った仮面とか、
旅から持って帰る珍しい品なんかを置いてもらってて……

その量とか注文がだんだん増えてきて、
裏手のスペースが開いているから
いっそこっち側でお店をやらないかってことで、
なんだかこんな感じになったんだよね。
だから表通りは今も喫茶店、みたいな。

今は仮面だけじゃなくてサーカスの衣装から、八卦石、
占いや儀式用の道具なんかも色々取り扱ってます!」

胸を張って言っているが、それって乗っ取りじゃないのか。
と思ったが、“様”呼びされて、
あれだけ指令が通っているのだから、
ギンコには人を動かす才能や商才があるのかもしれない。


「さあ、それじゃまず最初に、何より大事な石の下げ紐を選ぼうか!」
ロッキングチェアで思いっきり反動をつけて立ち上がると、
進一郎を手招いた。楽しそうなその様子は、まるで子供のようだ。

ロッキングチェアの置いてある反対側、
店の表側の右隅にそれはあった。

円筒形で回転するラックのようなものに、
色とりどりの組紐が引っ掛けられている。
飾りのないペンダントのようにも見えるそれには、
両端を繋ぐ、石にも金具のようにも見える物が付いていた。

「これは磁石と風沢石なんかを練り込んだものなんだって。
離すのも、くっつけるのも、持ち主の意思が反映されるから、
取り外すときは『取り外す』って念じてね。
まあ普通に意識するだけでも十分通じると思うけど」

どれにしようかすでに選び始めていた進一郎は
「じゃあずっとくっついていて欲しいって思ったら、
絶対離れないんですか?」
と質問した。

「一度そう念じてくっつけたら、
まあ本人が外そうと思わない限りは」

(なんだか細かい所にも不思議なアイテムが使われてるんだなぁ)
と思いながら、進一郎は一本の組紐を選んだ。

緑色と黄緑色、濃い水色の三色が組み込まれた紐だ。

「じゃあさっそく、試してみて。風雷石を通してみよう!」
ギンコが促すので、軽く念じて、その紐を取り外した。
金具のような石に触れたとき、指先に僅かに光が灯る感じがした。

思いの他問題なく、すっと外れたので、
しまっておいた風雷石を取り出すと、そこに変化が現れていた。

「石が黄色く光ってます……!」
風雷石は進一郎が選んだ緑色の組紐に反応して、
柔らかな光を放っていた。

「じゃあ本当に、君にぴったりの物を選んだってことだね」
ギンコはにっこりと笑った。

手の中で光る石と、本当に心が通っているのだと思うと、
どこか心強く、誇らしかった。
この世界で唯一無二の自分の分身とも言える、
信頼できる相棒を手に入れたような気がした。

キャッシュカード代わりの山天石と一緒に
風雷石を組紐に通して首に掛け、
心の中で強く「離れないで」と念じた。

留め石は硬く輪を閉じると、まるで一つの石の様になった。
するとそれと同時に、風雷石の光も消えていった。

「これでこの紐も、君の物になったってわけだね。
あ、お金のことは気にしないで。
マレビトはこっちの世界で落ち着くまで国から補助金が出されるし、
ボクもそのための資金は渡されてるから」

ギンコが手をひらひらさせてそう言ったので、進一郎は安心した。
これからこの世界で何がどう入り用になるか解らないし、
ありがたくマレビトとしての恩恵を受け入れることにした。

「じゃあ次は下着とかだね……。
確か奥の棚にあると思うんだけど……」
そう言ってギンコは店の奥に向かって歩き始めた。
通り過ぎたギンコの後ろに、何か気になる物があった。

「これ、地球でも見た事がある気がするんですけど……」
店内中央のガラスケースの中に、掌程の大きさの絵が飾ってある。
胸に下げた風雷石がまた、微かに光を発し始めた。

進一郎が近寄ってよく見てみると、
ビロード張りの四角いケースの中には
美しく彩色された箱と、扇状に並べられたカードがあった。

その中で一枚だけ、装飾された小さな金色のイーゼルに
立て掛けられているカードがある。


 


「『愚者』のカード。ボクが一番好きなカード。
タロットカードって聞いたことがある? 地球の男の子は
あんまり知らないかな……まあ、占いに使う道具なんだけど」
後ろ向きのまま戻ってきたギンコがくるりと振り返って言った。

「いえ、ネットとかの占いコーナーで見た事はあるような……。
あと漫画とかゲームの中に出てきたり。
意味は良く解らないけど、有名は有名だと思います」

「この世界ではね、うーんと……病気とかはそんなに無いんだよね」

「は?」

「うん、狩りの時の怪我なんかはあるんだけどね。
だからこっちでも、傷を治すお医者さんとかは
重宝されるし、尊敬されるんだけど。

あっちでも『病は気から』っていうじゃない? ストレスとかね。
でもネコタミはみんなそんなに迷ったり悩んだりしないんだよね。
風雷石もあるし、ネコ達はみんな直感が鋭いし、
自分にも他人にも嘘つかないから。

だからそんな感じで、何かに悩んだり、自分ではどうしても
答えが出ないって時は、心の風邪みたいなもので。
そういう時は、自分で占って神様に答えをもらったりするわけ」

「はぁ」

「で、自分で占ってもどうしても信じられない、
何かスッキリしないなって時は、
プロの占い師さんに占ってもらうわけ。
だからこっちの世界での『占い師』は、
ネコタミ達にとっては、神様との接続を繋ぎ直してくれる、
心のお医者さんみたいなものなんだよ」

「うーん」

「それでね、この世界最高峰のお医者さまは、
沢の国の『占《セン》様』っていう女王様なんだけど、
彼女の場合はもう神託っていうか、ほとんど神様と
携帯電話で話してるみたいに当たるんだってさ」

「この話、どこに向かってるんですか?」

「もうちょっとで到着します。
で、そのセン様が、毎年、年の初めとか何かの節目とか
お祭りなんかの時に、この世界全体や国のことを占うんだけど、
マレビトがこの世界に来るときは、必ず風の国、
この国の位置に『愚者』のカードが出るんだって。
ね、到着したでしょ?」

「えーと……。なんか豆知識は一気に増えましたけど……。
だから、何でこのカードが好きなんですか?」

「ああ! うん。そっちか。
あのね、『愚者』のカードはね、『0』、ゼロ番なんだよ。
タロットカードはね、まあ細かくいうと七十八枚あるんだけど……
とにかく。一番最初で、最後のカードなんだ。絵柄を良く見てみて。
彼はね、異世界から来た魂の旅人の姿とも言われてるんだよ」

ギンコに促されたのでカードを良く観察してみると、
そこには子犬を連れたピエロのような衣装の若者が、崖の上から
踊るようにどこかへ踏み出そうとしている姿が描かれている。
ただその若者は、やはりネコの姿だ。

「これ、このまま進んだら崖から落っこちちゃいません?」
その割には子犬も若者も楽しそうな表情で、意味が良く解らない。

「そう? ボクにはその崖の端っこ、ジャンプ台みたいに見えるよ。
それに、彼には他の人には見えない道が見えているのかもしれない」

そう言われて改めて見てみると、全体的に明るい色調といい、
何か予想外のことが起きる兆しに満ちているようにも見える。

周りから見た状況は絶望的なのだが、それでいて
自由気ままで幸せな雰囲気が漂っているのだ。

「だからね、ボクは好きなんだ。
誰にどう思われても、自分の道を自由に生きてる姿に見えるから。
それに、“0”ってことは、まだ運命が何も決まってない、
そこからまた、何度でもやり直せるってことでもあるんだし。
0の可能性は無限大だよ。
たった今この瞬間から、何にでもなれるんだから!」

ガラスケースの中に柔らかい眼差しを向けて、
ギンコはカードに微笑んだ。
「ま、ボクもこういうことは、
この世界に来てから教えてもらった受け売りだけど。
でもね、自由って、自分の責任でなりたいものになるって、
そういう事なんじゃないかなって、そんな風に思うんだよ」

進一郎の方を見て、また微笑んだ。

「やっぱり説明になってなかったかな?」
目を見開き、ゆっくりと息を吐いている進一郎を見て、
ギンコはそう尋ねた。

「いいえ。何か……何だろう、何か……うん、解ったというか、
もらったような……そういう気がします。ありがとうございました」

自分でもなぜか解らなかったが、泣きそうな気がした。
軽く頭を下げ、誤魔化そうと俯くと、風雷石の光は消えていた。

「あ、それ、風雷石は、直接手に入れるんでなくても、
自分にとって必要な学びとか、
出会いとかがある時は光って教えてくれるからね」

またくるりと回れ右をして、ギンコは店の奥に進んでいった。

「さあ、次は下着だよ!
マレビト用のピチピチタイプのブリーフや
ボクサーパンツが置いてあるのはボクの店くらいだよ!」

つられて、進一郎は思わず笑った。
ガラスケースの中では午後の光を受けて、
『愚者』が胸を張って自分の道に踏み出そうとしている。





 【第一章:マレビト・スズと風の国 十五】

店の奥のほうの棚でいくつか下着を選ぶと、
「じゃあ次はいよいよ衣装と仮面だね!」
というギンコの一言で、レジ(だと思われる機械が置いてある)
カウンターの裏に連れて行かれた。

そこには店を真横に分けるような、小さく薄暗い廊下があった。
それをまたいで行くと表の喫茶店に繋がっているようだが、
その廊下の隅には上下階に繋がる階段があった。
下の階へ向かう階段には、大きなドアのような床扉が付いている。

「工房と倉庫は地下なんだ」
開いて固定された扉から降りる時、ギンコが楽しそうにそう言った。
まるで秘密基地を案内する子供のようだ。
階段を下りているのに足取りは弾んでいる。

階段を下りきる前に、女性の言い争うような声が聞こえてきた。

「だから、男の子だってピンクは可愛いですよ!!
センスの良い子なら着こなせます!」
メルーのようだ。

「基本はブルーでしょ、マレビトの男の子はみんな
青を着るものだっていう習慣があるらしいじゃない!!」
たぶんレオナだ。

声のするほうに近づいてみると、
壁一面が色とりどりの布などが収められた棚になり、
様々なデザインの服が数えきれないほどたくさん、
可動式のハンガーに掛けられている場所になっていた。
奥には大きなミシンやアイロン台のような物も見える。

その空間の中央に大きな木の四角いテーブルがあり、
その前でメルーとレオナが普段着と思われる着物のような物を
お互いに自分の体に合わせて見せ合うようにして口論している。

「だってさ、スズキくん、どう?」
ギンコが苦笑しながら聞いてきた。

「さすがにピンクはちょっと……」

と、やっぱり服も自分で選びなおした方が良いのかなと進み出ると、
意外にもテーブルの上には進一郎好みの緑の色合いの服が多く、
デザインの良いタオルなどの小物も、
綺麗に折りたたまれて並べられていた。
そしてそれらすべてが余裕で入りそうなグリーンのバッグも。

「スズキ様のお靴とバッグから、お好きな感じの物を
予想してみたんですが、いかがでしょうか?」
メルーが少し照れたように言った。

「明るめのグリーンを基調に、
色調のはっきりした切り替えの効いたデザイン。
また、動きやすく、雨にも強く軽い素材がお好みのようでしたから。
お気に召していただけましたか?」
レオナが自信のある、しかし柔らかな笑顔で言った。

「プロだ。プロがいる」
進一郎はつぶやいた。

「じゃあとりあえず、サービスってことで両方入れとけば?」
ギンコが言うと、二人は目配せし合って頷き、
持っていた服をさっとたたんでテーブルの両端に並べ添えた。

「荷造りもお願いね、ボクらは仮面と衣装を選ぶから!」
ニコニコと後ろ手で手を振って、ギンコは特に派手な色合いの服が
並んで掛かっているハンガーのほうに歩いていく。

「「サイズと好みの合いそうな物は手前に揃えておきましたから!」」
二人の声が後ろから追いかけるように教えてくれた。



☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ 



※ごめんなさい、今回の日記で最初、【14】の
『愚者』のイラスト挿入するの忘れてました。(^ェ^);

裏話はまた後日!(๑•ω•́ฅ✧





Nekotamibnneko