たとえばの話ですけどね。
『足の小指』って、ぶつけるとものすごく痛いじゃないですか。
タンスの角とかに。
で、ある日ある人が、
「良いことを思いついた!
足の小指を切断してしまえばもう
タンスの角にぶつけて痛い思いをしないですむぞ!」
って言い出すとするでしょ。
普通は、「いやいや、悪いブラックジョークでしょ。
みんな本気にするわけないよね」って思いますよね。
いくら多くても、たぶん一生で10回くらいしかぶつけないし。
ところが自分が思っている以上に、
「なんて画期的なアイデアなんだ!
誰も思いつかなかった! 凄い人が現れたぜ!!」
って本気で思う人がたくさんいて、
とうとうその人が大統領になっちゃうんですよ。
で、国民の投票で選ばれたその人の命令で、
国民はみんな足の小指を切断するべきという法律ができるわけ。
その大統領を支持した人は、
喜んで切断する手術を受けるんだけど、その後
「どうも歩きづらいな。それになかなか傷も塞がらないし。
治ったとしても今度は薬指をぶつけてもっと痛い思いを
するんじゃないかという気がしてきた……」
ってようやく気が付き始める。
でも国民がざわつき出した出した頃には、
ちょっとずる賢い大統領の補佐が現れて、
「皆さん、気が付かなったでしょうが、
あなたがたの小指は悪い病に侵されて、
切断しなければ足全体を切っていたんです。
むしろ命を救われたんですよ!」
とか言い始める。
さらにそれは敵対者が毒を盛ったせいだとか、
普段飲んでいる水や食料にそういう物質が含まれている、
それは左翼のせい、野党のせい、マイノリティのせい。
我々はそれを阻止するためにあえて皆さんの小指を切ったのです!
などなどの陰謀論が振りまかれる。
全くの嘘なんだけど。
そうするとまた大統領支持者が、
「そうだったのか! やっぱり我らが大統領は凄いぜ!
さすが救世主、俺達の命を救えるのはあんただけだ!!」
って、盛り上がる。
ここで言う『足の小指』は、たとえば福祉だったり
医療だったり海外ボランティアだったりするんですが。
切られてしばらくたってはじめて、あれ、暮らしにくい。
ひょっとして自分たちの生活に大切なものだったんでは……?
と気がつく人がちらほら現れる。
でもその頃にはもう足の小指は廃棄されて元に戻すことも出来ない。
むしろ切られて捨てられる小指側の人も率先して
騙されているとか、とにかくこの人の言うことは
すべて正しいと思い込んでいると言うか。
何万人も『無駄』として解雇してるけど、
その分浮いたお給料とか◯◯費とかは、
「一番偉大な仕事をしている人が一番多くもらって当然」
みたいな理由で、結局大統領とその側近の手下に入金されて、
国民に還元されないような気もするんですけど。
それが私が見ている最近までのアメリカのイメージ。
いや、もちろんちゃんとした考えの人も多いんだけどさ、
民主主義という名の多数決でまさかの負けになってしまって。
でもここ数日の関税問題で目が覚めた人も多いかな……。
そうだと良いけれど。
なんか冗談抜きで、このまま任期をまっとうしたら、
数年後にはアメリカ全土がリアル『マッドマックス』や
『北斗の拳』のような世界になってしまう気がする。
けして笑い事じゃなく。
民主主義がより正しく機能するには、できるだけ多くの人が
正しい教育を受けられたり、宗教や人種や国境を超えた
博愛精神が何より大事なのではないかと思う今日この頃です。
以前はヒトラーなどの歴史上の『独裁者』はなぜ
選挙で選ばれたのだろう? と本当に解らなかったですが、
今見ている現実が『独裁者の作り方』そのものなんだなと。
ちなみにヒトラーの暗殺計画は少なくとも42回はあったそうです。
暗殺や死をまぬがれる=救世主、神が救った人ではないと、
歴史も証明していると思うんですが……。
ヒトラーが救世主で神の使いだったと思う人にとっては別ですが。
歴史上、間違いなく善良で尊敬に値する人も、
暗殺されたり悲劇的な死を迎えていますし。
理論も理屈もなく嘘をつき横暴に強く出てくる相手に
ただ『今は怒らせたくない』となあなあで従っていると、
世界的な破滅や戦争に向かうんだなと。
今ならまだ引き返せるだろうか。
アメリカの良心や良識に任せて大丈夫なのだろうか……。
今回も考えをまとめるために書いてみました。
真面目な話、アメリカは大統領という一人のただの人間に、
世界を左右する権限を与えすぎだと思うのですが。


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